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蒼牙と如月が送るなんだか良く判らないリレー小説
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 そう約束して、上げた目線の先では―。今しがた死を覚悟したとは思えないくらい穏やかな瞳が微笑んでいた。恐らく、この暗殺計画を、マリアンヌはもっとずっと前から知っていたのだろう。
 彼女の冷静さに、寧ろ動揺したのはC.C.の方だった。

 この自分すら、まだ―「死ぬこと」の苦痛には慣れていないのだ。

 魔女と罵られ、何度も殺されてきた。

 冷たい鉄の処女の腕に抱かれ。断頭台の鋭い刃に首を落とされ。槍で貫かれ、貼り付けにされて火で炙られ―。

 そこまでして子供達を守りたいか、そう問いかけようとして…何を言っても無駄だろうということに気づく。は、と小さく息を吐いて、精一杯の虚勢で肩をすくめると、彼女は言葉を続けた
「…では、さようなら…と言うべきなのだろうな。」
「ええ。」
 踵を返して歩き出すと、
「あなたに会えたこと、本当に良かったと思っているわ。…さようなら、C.C.。」
 いってらっしゃい、と告げるような静けさの声が追いかけてきた。
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「お前…、何故?
「…マリアンヌ、…どうして」
 
柔和な微笑を湛える一人の女性と、動揺を隠し切れない一人の少女。
何かを言おうとした少女の唇は、だが、掠れた呟き零しただけで閉ざされた。
 
「せめて、ルルーシュとナナリーの命だけでも…貴女しか託せる人が居ないの」
 
「どうして!お前が子供達を連れて逃げれば良いだろう?それなのに…何故お前は子供達だけを助けようとするんだ、それに…」
 
「C.C.」
 
少女の必死の抗議は、女が彼女の名を囁く声で遮られた。
 
「お願い。貴女しか…信用出来る人は居ないのよ。…C.C.、貴女にもいつか判るわ。失う事が出来ない人の為に命を賭してしまう哀しい人の性が」
 
優しく握られた手の温もりで、それ以上少女は何も言えなくなった。
マリアンヌは彼女にとって数少ない関わりのある人間の一人であり、だからこそ彼女はこの女を失う事を心の何処かで嘆いていたのかもしれない。
 
「私まで逃げたら刺客が差し向けられるでしょう。私さえ命を落とし、貴女が子供達を隠してくれれば…上手くいけば一人の命だけで全ては収まります。私は…子供達を守りたいの」
 
「……判った。お前の最期の願い、私が叶えてやろう」
 蝉が鳴いている中を、蒸し暑い空気の中を、ルルーシュは走っていた。

 ニホンの夏は暑く、さらに酷く湿気ている。じりじりと照りつける太陽に体力は容赦なく奪われていくし、もともとインドア派だった彼には少々きつい探索作業だとも言える。
(それもこれも…)
 木陰に入ると、どっと汗が噴出してくる。
「……」
 苛々とそれを袖で拭いながら、ルルーシュはどこまでも広がっているような森を、仇でも眺めるような目で睨みつける。

「ナナリー!!!」

 怒鳴ってみても…勿論、返答などは帰ってくるわけも無い。
 せめてもっと人手があれば、とか、せめてもっと判りやすい場所だったら、と…ちらりと怒りが頭の隅を過ぎるが、だがそれはすぐ焦燥にとって変わった。

 ナナリーが通常の子供であれば、大して心配する事も無いだろう。だが彼女は、日本に預けられた人質であり…命の危険は、いつも彼女に付きまとってきている。
 勿論、そういった意味ではルルーシュ自身も、一人で出歩くには危険すぎる立場であることは間違いなかった。

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